父の日

私の父はお人好しである。 仕事がずっと続いて休みが全く取れない日でも 人が喜ぶことをする時間は決して削らない。 誰かの誕生日を祝うことが好きで 実家のカレンダーはたくさんの名前で毎日が埋まっている。 そして毎日誰かにバースデーコールをしている。 時によってはケーキや花束を届けに訪問してから帰ってくる。 私が日本へ帰国する時も、日本を離れる時も 仕事が忙しいのに必ず成田まで来てくれる。 それは結婚以前に旅行で空港を利用してた時から変わらない。 思い出すといろんな優しい父がいる。 もちろん反発した時期もあったし、 振り返るとイラっとする思い出もある。

けれど父の顔を思い出す時、 まず浮かぶのはニコニコ笑ってる顔だ。先月、日本に里帰りした際に飛行機の中で 「永遠の0」と「少年H」を観た。 観ながら映画の中の父と私の父の共通する部分を 幾度となく見つけた。 どちらも戦争があった時代の話。 家族を守る芯の強い父親が描かれていて 私はボロボロ泣きながら、 大変な時代を乗り越えた先祖がいたから今があることや、 家族の有難さを痛感した。 時々人生には理不尽なことや逃げたいことがあるけれど、 どんな形であっても命が与えられてることは 大きな奇跡なんだと思った。

 感情の浮き沈みが激しい性格の私は、 大抵の嫌なことはもうやだー、もうどうでもいいーって 逃げようとする。 海中深く、海の底までしっかりささった錨のように どんな時もじっと据えてる父を見習おうとしても 私には到底届かない目標のように思える。 父のようになるのは私には難しいけれど、 いつか生まれてくる私の子どもや 遠い未来の子孫まで 父と母や先祖があって、今があることを 伝えることが出来たらいいなと思う。 春



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