3月、卒業のシーズンです。
新たな旅立ちを前に希望と不安が入り混じった時期ですね。
今回は、新しい人生に向かって新たな一歩を踏み出す人々に希望と励ましを与えるプロジェクト―児童養護施設にキルトを寄贈するという活動を行っているStepping Stones「ステッピング・ストーンズ」の代表、関口貴子姉妹にお話を伺いました。
Q:この活動を始めることになったきっかけを教えていただけますか?
関口: 活動の発端は、1999年に末日聖徒イエス・キリスト教会日本仙台伝道部の伝道部会長として召されたコナン・グレームス会長と奥様のシンディー・グレームス姉妹の愛に溢れた贈り物からです。
お二人は、教会員の家庭に生まれた子どもたちが福音を教えられて成長し、将来伝道や神殿結婚することを心から願って、担当地域に住む会員のご夫婦に赤ちゃんが誕生した際、500円を伝道あるいは神殿結婚基金としてプレゼントしたのです。
そして、グレームス姉妹は趣味を生かして、お祝いにとキルトを贈りました。この贈り物は赤ちゃんが誕生したご夫婦にとても喜ばれたため、彼女は次々とキルトを贈っていきました。
Q:グレームス姉妹は、伝道部会長夫人として多忙であられたと想像しますが、お一人で活動されていたのですか?
関口: 非常にユニークなのは、彼女たちのもとに派遣されてきた若い宣教師の母親や彼女の友人たちにも協力を波及させたことです。
親元から遠く離れて異国の地で奉仕する息子、娘たちを心配する母親たちの心を子どもたちと同じ伝道活動に向けさせ、そこから得られる喜びを親子で体験できるように計らったのです。
この素晴らしいアイディアのおかげで、3年の任期が終了するまでに75枚を越えるキルトを贈ったそうです。
Q:現在のように、児童養護施設にキルトを寄贈することになったのはいつ頃からなのでしょう?
関口: グレームス姉妹はご主人のグレームス長老と共に2010年に再来日しました。ご夫婦でアジア北地域広報ディレクターに召されたためです。
2年の奉仕中には、かつて伝道部会長として3年を過ごした地が未曾有の大震災に襲われるという出来事がありました。
被災地を度々訪問し、教会の支援活動をサポートするという
難しい仕事が一段落する頃、グレームス姉妹は東京の地においてもキルト作りを活かした奉仕活動をしたい、という思いを強められました。
そして、児童養護施設を18歳で退園しなければならない少年少女たちに、卒業の門出を祝ってキルトをプレゼントしては、という考えに行き着いたわけです。
しかし、当初はキルト寄贈を受け入れてくださる施設をなかなか見つけることが出来ませんでした。ようやく受け入れてくださる施設を見つけることが出来たのは、グレームス夫妻が帰国間近のことでした。
カトリック教会で奉仕活動に熱心に関わっている日本人
女性との面識を得て、その方からの紹介で、都内にある2カ所の児童養護施設にキルト寄贈の道筋を作ることが出来たのです。
Q:その後は、どのように活動が発展していったのですか?
関口: 帰国直前の2012年6月、グレームス姉妹は3人の在日アメリカ人姉妹と2人の日本人姉妹を招き、このキルトプロジェクトを紹介し、翌春のキルト贈呈が実現できるよう人道支援のグループを作りました。
そのうちの一人が私でした。
その後まもなく広報ディレクターとしての任期を終え、ご主人とユタ州へ戻られたグレームス姉妹は、アメリカで、キルトを作り寄付してくれる姉妹たちを探し、活動を進めました。
一方、日本では3人のアメリカ人女性のうちの一人、ジュリー・ウェルチ姉妹がリーダーとなり、東京に於いてキルト作成の割当やキルティング分担の調整を図ることに。
そして、私にとっての課題は、日本人姉妹たちの中でこのプロジェクトを進めることでした。
幸いにも私の所属する東京ステーク会長は勿論、ステーク扶助協会会長もこのプロジェクトに賛同して下さり、毎年、東京ステークの各ユニットで扶助協会その他の集会として、キルトトップ作りに協力して下さっています。
善意に富む多くの姉妹の皆さんのお陰で、日本とアメリカの双方に於いてこのプロジェクトは着実に少しずつ広がっています。
グレームス姉妹が帰国された2012年は、この活動を支持するアメリカ人姉妹たちにより7枚のキルトが作られ、2013年春、2カ所の児童養護施設から自立の道に旅立つ7人の卒業生に初めて寄贈しました。
若い少年少女の門出を手作りキルトでお祝い出来たのです。
翌2014年春には、1カ所増えて、3カ所の児童養護施設の卒業生に14枚のキルトがプレゼントされました。
このプロジェクトをスタートしてから、まだ3年ですが、これまでに日米で多くの姉妹たちが個人でキルトを作ってくださいました。
中には毎年寄付して下さる方々もいます。
また、毎年協力して下さっている東京ステーク以外に武蔵野ステーク国立ワードの姉妹たちが手縫いで参画して下さいました。
新たな旅立ちを前に希望と不安が入り混じった時期ですね。
今回は、新しい人生に向かって新たな一歩を踏み出す人々に希望と励ましを与えるプロジェクト―児童養護施設にキルトを寄贈するという活動を行っているStepping Stones「ステッピング・ストーンズ」の代表、関口貴子姉妹にお話を伺いました。
Q:この活動を始めることになったきっかけを教えていただけますか?
関口: 活動の発端は、1999年に末日聖徒イエス・キリスト教会日本仙台伝道部の伝道部会長として召されたコナン・グレームス会長と奥様のシンディー・グレームス姉妹の愛に溢れた贈り物からです。
お二人は、教会員の家庭に生まれた子どもたちが福音を教えられて成長し、将来伝道や神殿結婚することを心から願って、担当地域に住む会員のご夫婦に赤ちゃんが誕生した際、500円を伝道あるいは神殿結婚基金としてプレゼントしたのです。
そして、グレームス姉妹は趣味を生かして、お祝いにとキルトを贈りました。この贈り物は赤ちゃんが誕生したご夫婦にとても喜ばれたため、彼女は次々とキルトを贈っていきました。
Q:グレームス姉妹は、伝道部会長夫人として多忙であられたと想像しますが、お一人で活動されていたのですか?
関口: 非常にユニークなのは、彼女たちのもとに派遣されてきた若い宣教師の母親や彼女の友人たちにも協力を波及させたことです。
親元から遠く離れて異国の地で奉仕する息子、娘たちを心配する母親たちの心を子どもたちと同じ伝道活動に向けさせ、そこから得られる喜びを親子で体験できるように計らったのです。
この素晴らしいアイディアのおかげで、3年の任期が終了するまでに75枚を越えるキルトを贈ったそうです。
Q:現在のように、児童養護施設にキルトを寄贈することになったのはいつ頃からなのでしょう?
関口: グレームス姉妹はご主人のグレームス長老と共に2010年に再来日しました。ご夫婦でアジア北地域広報ディレクターに召されたためです。
2年の奉仕中には、かつて伝道部会長として3年を過ごした地が未曾有の大震災に襲われるという出来事がありました。
被災地を度々訪問し、教会の支援活動をサポートするという
難しい仕事が一段落する頃、グレームス姉妹は東京の地においてもキルト作りを活かした奉仕活動をしたい、という思いを強められました。
そして、児童養護施設を18歳で退園しなければならない少年少女たちに、卒業の門出を祝ってキルトをプレゼントしては、という考えに行き着いたわけです。
しかし、当初はキルト寄贈を受け入れてくださる施設をなかなか見つけることが出来ませんでした。ようやく受け入れてくださる施設を見つけることが出来たのは、グレームス夫妻が帰国間近のことでした。
カトリック教会で奉仕活動に熱心に関わっている日本人
女性との面識を得て、その方からの紹介で、都内にある2カ所の児童養護施設にキルト寄贈の道筋を作ることが出来たのです。
Q:その後は、どのように活動が発展していったのですか?
関口: 帰国直前の2012年6月、グレームス姉妹は3人の在日アメリカ人姉妹と2人の日本人姉妹を招き、このキルトプロジェクトを紹介し、翌春のキルト贈呈が実現できるよう人道支援のグループを作りました。
そのうちの一人が私でした。
その後まもなく広報ディレクターとしての任期を終え、ご主人とユタ州へ戻られたグレームス姉妹は、アメリカで、キルトを作り寄付してくれる姉妹たちを探し、活動を進めました。
一方、日本では3人のアメリカ人女性のうちの一人、ジュリー・ウェルチ姉妹がリーダーとなり、東京に於いてキルト作成の割当やキルティング分担の調整を図ることに。
そして、私にとっての課題は、日本人姉妹たちの中でこのプロジェクトを進めることでした。
幸いにも私の所属する東京ステーク会長は勿論、ステーク扶助協会会長もこのプロジェクトに賛同して下さり、毎年、東京ステークの各ユニットで扶助協会その他の集会として、キルトトップ作りに協力して下さっています。
善意に富む多くの姉妹の皆さんのお陰で、日本とアメリカの双方に於いてこのプロジェクトは着実に少しずつ広がっています。
グレームス姉妹が帰国された2012年は、この活動を支持するアメリカ人姉妹たちにより7枚のキルトが作られ、2013年春、2カ所の児童養護施設から自立の道に旅立つ7人の卒業生に初めて寄贈しました。
若い少年少女の門出を手作りキルトでお祝い出来たのです。
翌2014年春には、1カ所増えて、3カ所の児童養護施設の卒業生に14枚のキルトがプレゼントされました。
このプロジェクトをスタートしてから、まだ3年ですが、これまでに日米で多くの姉妹たちが個人でキルトを作ってくださいました。
中には毎年寄付して下さる方々もいます。
また、毎年協力して下さっている東京ステーク以外に武蔵野ステーク国立ワードの姉妹たちが手縫いで参画して下さいました。
特に大きな力になっているのは、ロングアームミシンでたくさんのキルティングをしてくださったジェニファー・ダービー姉妹やローラ・ハーシー姉妹です。
彼女たちの無私の働きがなければ成り立っていなかったことでしょう。
そして、アジア北地域会長会の奥様であるリングウッド姉妹、
ホワイティング姉妹も多忙にもかかわらず、キルティングを手伝って下さいました。
そして、今春寄贈の内の2枚はOceanwave Quiltersという一般のキルトグループの皆様から提供をいただいています。
このように日米双方で個人的に無償でキルトを作り、提供してくださる方々の善意がこの活動を進める大きな力になっている傍ら、キルトを自分で縫えないけれど代わりに縫ってくれる人のためにと、金銭的支援を申し出てくださった方々の助けも大変貴重です。
Q:プロジェクトの名称「ステッピング・ストーンズ」にはどんな思いが込められているのか、お話しいただけますか?
関 口: 私たちが寄贈 するキルトは、事前に卒業生の好みの色をお聞きして作っているのですが、パッチワークパターンはすべて一緒です。それはSticks and Stonesというパターンで、「Stepping Stones ステッピング・ストーンズ」という名称の由来になっています。
毎年、キルトをプレゼントする際に添えている次のメッセージによって、私たちグループの思いに触れていただけるかと思います。
******
わたしたちは「Stepping Stones(ステッピング・ストーンズ)」という名前のグループです。
日本の庭園にある「踏み石、または飛び石」という意味です。
あなたが今、人生の新たなステップを踏み出す助けになるようにという願いを込めて名付けました。
そして、その願いが伝わるようにとこのキルトを作りました。
このキルトのパッチワークは、スティック&ストーン(棒と石)というパターンを使ったもので、2センチ角の小さな布の部分がストーンを表しています。
あなたが未来に向かって大きく羽ばたき、飛び立てることを心から願っています。
このキルトにくるまるとき、あなたの幸せを願っている人が確かにいることを感じ、体と心の両方が温かくなるとうれしいです。あなたの未来が明るいものとなりますように!
愛を込め
***Stepping Stones***
児童養護施設を卒業する18歳の子どもたちが、キルトを見るたびに、自分のことを気にかけてくれる人がいることを感じ、一歩一歩進む勇気と希望を持ってくださるよう願っています。
Q:関口姉妹が代表となったのはいつからですか?
関口: 私は、グレームス姉妹が帰国間際に、このプロジェクトを立ち上げるために、声を掛け、集められた5人の姉妹たちのひとりでしたが、それまで簡単なベビーキルトしか作ったことがなく、出来るだろうかと不安でした。
でも、「それならもう立派なキルターよ!」と快活に答えるグレームス姉妹に励まされ、人生初のパッチワークに挑戦しました。
布の選び方からカッティング、縫い方まで教えていただきました。そして、中野ワードの姉妹たちに助けてもらい、初めて本物?のキルトを縫い上げることができました。
スーパービギナーだった私でしたが、キルトを通して出会った方々から次々に新しいことを学ぶことが出来、人生の新しい扉をどんどんと開いて行けたように感じています。
布 選びやピーシングなどに大分慣れた頃の昨年一月、ウェルチ姉妹からご主人が伝道部会長として召され、七月に日本神戸伝道部へ行くことをお聞きました。そし て、リーダーを私が引き継ぐことに。晴天の霹靂という言葉がぴったりの心境でしたが、やるしかない!と腹をくくりました。
何故って、この素晴らしい人道支援プロジェクトを途切れさせたくないと強く思ったからです。
それでも私に務まるだろうかと大きな不安に駆られるときには、神殿で導きを求めて祈り、前進する力をもらいました。
Q:このプロジェクトに関わることで、関口姉妹自身にはどんな影響がありましたか?
関口: この人道支援キルトプロジェクトがスタートして以来、
とても興味深く感じていることは、備えられた人との出会いです。
今までパッチワークやキルトに関して門外漢であった私は、そのような趣味を持っている姉妹たちを、誰一人として知りませんでした。
協力して下さる方を見つけることは今後のステッピング・
ストーンズにとって大事なことです。周りの人々にこの
プロジェクトを紹介しているとき、「趣味のパッチワークを生かして人の役に立ちたいと思っていたのよ!」と協力を表明してくださる方々と、出会うはずのないタイミングで巡り合うという奇跡も!
本当に不思議ですが、伝道とよく似ています。自分自身が実際に行動し口を開いて語るなら、道は開けるのだと実感しました。
Q:ステッピング・ストーンズの今後の展望は?
関口: こよなく日本人を愛し、その愛の手を差し伸べてくださっているグレームス姉妹を始め、このキルトプロジェクトのために日米のLDSの姉妹たちが共に協力して奉仕していることに大きな意味があります。
キルターの方々だけでなく、これから自分の才能を見つけたいと思っている方もぜひ挑戦してくださるとうれしいです。
昨春にプレゼントしたキルトの中の1枚は、若い女性からのものでした。
成長する私のプロジェクトとして作り寄付してくれたのです。
とても価値ある1枚だと感動しました。
彼女にとってキリストのような慈愛を心に満たし、才能を伸ばす1枚となり、プレゼントされる卒業生にとっては、それがこれからの人生の中で勇気や励ましや愛を感じるものとなるのです。
今後、さらにキルトを提供して下さる方が増え、多くの児童養護施設卒業生に旅立ちを祝う手作りキルトをプレゼント出来るようにと願っています。
Q:最後に、読者の皆さんに伝えたいメッセージは?
関口: キルト作りをするようになって初めてわかったことの1つは、ミシンの縫い物をするのがとても楽しく感じる自分自身がいることです!布選びに頭を悩ませるのもすごく楽しいですよ。
そして、私たちが作っているこのパターンならシンプルで簡単なのに、不思議なくらいとても素敵な仕上がりに見えるのです。
今、この記事を読み、パッチワークなんてやったことないもの〜と思っている方も、始めてみれば私のように新しい自分に出会えるかもしれませんよ!
§ 編集後記 §
グレームス会長姉妹の500円玉とキルトのプレゼントは、二人が若かった頃、当時の預言者キンボール大管長が、ステーク大会で1人のアロン神権者を呼び、1ドル銀貨を手渡し、「これで宣教師資金を貯めることを始めますか?」と尋ねたことを模範に始められたととのことです。
また、両親が日々子どもたちを教えるよう励ます目的で、日本仙台伝道部の宣教師たち全員のサインが記された証書も送り、キルトには仙台伝道部のラベルを付けたということです。
グレームス姉妹の周りの人を気遣い、愛を示す模範から始まったキルトプロジェクトは多くの人に希望と幸せを分かち合う素敵なプロジェクトとして活動を続けています。