思い出づくり

飛ぶネコには絵心がありません。
ですが、芸術品を鑑賞するのは大好きなんです。


父が絵描きになりたかった人でした。
ところが、戦後の厳しい時代、
それはまさしく実現不可能な夢でした。


実家を飛び出して上京し、
アルバイトをしながら絵の道を志したものの
実家の事業を手伝うように呼び戻され
かなわぬ夢となりました。


それ以来、父は、絵を描くことをやめました。


代わりに、家族や飛ぶネコを伴って
美術展にたくさん行きました。





そんな思い出がある飛ぶネコ。
自分の子どもたちにも芸術を楽しんでもらいたいと
アートショーに連れていきました。


「ほら、すごいでしょ! この絵」


と後ろを振り返ると、
。。。。誰もいません。


なんと、子どもらは、
体験コーナーへまっしぐら!
切ったり、張ったり、トレースしたりに夢中でした。


結局、1時間を
その体験コーナーで過ごしました。


期待通りにいかなかった飛ぶネコの心は
撃沈。。。


こういう撃沈の仕方は、今回に限ったことではありません。
ま、しょうがない、と、車に乗り込みました。


バックミラー越しに
「楽しかったね。」と興奮気味の子どもたちが見えます。


『そう、体験コーナーそんなに楽しかったの。』


と、嫌味の言葉が出そうになりました。


でも。。。


「かあさん、連れて来てくれてありがとう。
家族で来たから楽しかった。」


という言葉に、アッとなりました。


子どもらにとっては、何をしたかじゃなく、
家族でというのが大事なんだ、と。


思い出づくり、もっと頑張ろう!!!

photo: lds.org

 

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