困ったときの神頼み

大変だ。あ~もうできない、っていうときに自分以外の力に頼りたくなって行う
困った時の神頼みは、責任転嫁のいい例である、
というような理論を聞いたことがあるでしょう。


確かに、その困っている人が何の努力もせずに「神様、助けて。」と叫んでいたら
それは本末転倒ですよね。


ですがもし、その困っている人が、自分にできる限りのことをしたのにもかかわらず
どうしようもない状態に陥ってしまったその時に、
「神様、わたしはいろいろ頑張りました。
ですが、何の解決も見い出せません。
なんとかこの状況を改善できるように助けてください。」
と嘆願したとしたら、どうでしょう。


神様の立場から見れば、どちらのお願いを聞き入れたいとお考えになるでしょうか。

 

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飛ぶネコは、若い頃、非常にまれな経験をしました。
「『なんとか、この状況を解決できるように助けてください。』
と神様にお願いしている人たちに会えるように助けてください」、
というお願いを、ほとんど毎日行って生活した経験がそれです。
同僚と呼ばれるもう一人の女性と対になって毎朝、毎晩、日に何度も
このことをひたすら神様にお願いしていました。
それを18か月間続けました。


さて、最初の質問に戻りますが、
神様の立場から見て助けたいと思うお願いをしている人々がいましたね。
それが、飛ぶネコと同僚が探し求めていた人たちでした。
私たちは、その人たちのレスキュー隊として派遣されていたからです。


ですが、自分たちでは、そんな困っている状況の人がどこにいるのか、
さっぱり見当もつかないわけです。
いわゆる、飛ぶネコと同僚にとって、これは『困ったときの神頼み』でした。
一日の始まりは必ず、「その人に会えますように。」
というこの困ったときの神頼みから始まりました。


ではその後、どうなったかといえば。。。
どこへ行けばよいのかもわからないままアパートを出て、
私たち二人は自転車に乗り、街へ繰り出しました。
その途中、「あそこに行ってみた方がいい。」という思いが浮かんできたりします。
その場所に着くと今度は、見える限りの家々をノックして回ります。
神様が助けたいとお考えの人を探すという目的を達するために
ひたすら、一軒一軒ドアをノックし、『その人』を探し続けます。


あるいは、「この道の先を歩いているあの人に声をかけてみた方がいい。」
といった思いを感じる瞬間が訪れます。
これは、神様が私たちのお願いを聞いてくださったのかもしれないと思う瞬間です。
『思う』と言ったのには、訳があります。


さきほど、飛ぶネコたちはレスキュー隊だったと言いました。
もし、その人を助けに来たレスキュー隊員であれば、
「あなたの連絡で私たちはあなたを助けに来ました。」と言えます。
ですが、飛ぶネコたちの場合、
「私たちはあなたが困っていると神様からお告げを受けたので助けに来たのです。」
なんて言う風に話しかけるわけにはいかなかったのです!
なぜって、この助けが必要かもしれない人のお願いは、密かに行われたもので、
それを赤の他人である飛ぶネコたちが知っていて、
いきなり、通りすがりにそれを言われたならば、
「助けに来てくれてありがとう。」よりも、
「なんなんですか!あなたたちはぁ!気味が悪いなぁ」という反応が返ってくるはずだからです。


ということで、飛ぶネコたちにできることは、
「こんにちは。この街で働いている者です。何か、お助けできることはありませんか。」
と、魔女の宅急便のキキがするような挨拶を交わしてから、
徐々に、その助けの必要であろう人の『お願い』の詳細を知ろうと試みることでした。


この困ったときの神頼みを1年半続けて、
何人の『その人』に会えたと思いますか。
正確な統計は出せませんが、たくさんの『その人』にお会いできたんです。
「私たちは、あなたを助けに来たのです。」という言葉をやっと言えた瞬間は、
飛ぶネコと同僚の、そして『その人』双方の
困ったときの神頼みが叶ったことを知る瞬間であり、
お互いに胸が熱くなってこみあげてくるものがありました。


この特別な経験が忘れられなくて、
飛ぶネコは今でも『困ったときの神頼み』をよくやります。
自分がレスキューに行ける立場のときは気分も上々なのですが、
時には、自分が助けに来てもらう側である時もあって。
でも、「あなたを助けに来たのです。」と、飛ぶネコの目の前に現れる人がいるとき、
(それは時に、本人も気づかないでそうしてくださっていることもあるのですが)
この人は、神様から送られた天使だな、と感じて、
ジワジワと目ににじみ出てくる涙を抑えきれなくなったりします。


困ったときの神頼み、そんなに悪いものじゃないですよ、というお話でした。
おしまい。

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